平成30年9月13日(木)の一般質問初日に、2人目として登壇しました。
今回は、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革、子育てしやすい環境づくり、学校教職員の働き方改革、児童生徒の安全確保、自転車の活用、防災対策と、市民の方々から寄せられた声や私のワークライフを中心に、安全安心なまちづくりと併せて質しました。
質問原稿を以下に掲載します。市当局からの答弁と再質問のやり取りは、後日掲載いたします。
秋田市議会本会議中継・録画映像はこちら(外部リンク)
質問項目
※詳しいPDFファイルはこちらのページから(私以外の議員の分も含みます。)
- ワーク・ライフ・バランスについて
(1) ワーク・ライフ・バランス推進の取り組み状況について
(2) 市の発注業務を通じたワーク・ライフ・バランス等の推進について
(3) 秋田市特定事業主行動計画(第3期改訂版)による取り組みについて - 教職員の働き方改革について
- 子育てしやすい環境づくりについて
(1) 放課後児童対策について
(2) 病児・病後児保育について
(3) 骨髄移植手術等により定期予防接種で獲得した免疫が失われた場合の再接種について - 児童生徒の安全確保について
- 自転車活用の推進について
- 防災対策について
質問原稿
会派そうせいの藤田信です。
通告に従い、順次、質問いたします。
1.ワーク・ライフ・バランスについてです。
新・県都『あきた』成長プランの基本理念に示されているように、私たちが、「年齢や性別を問わず、自分らしくいきいきと輝いている「人」」として、ともにまちづくりに関わり、暮らしの豊かさの実感へとつなげていくためには、長時間労働などによる仕事に偏った暮らしを改め、仕事と生活を両立させていくことが不可欠です。
博報堂生活研究所が昨年秋に実施した調査の中に、「2018年に力を入れたいこと」という質問がありました。複数回答ですが、「睡眠・休息」と答えた人が全体の80.7%で、24項目中で1位となっています。このような、意識して力を入れようとしないと8割もの人が「睡眠・休息」を充分にとれない状況では、我が国の将来が不安になります。
このような大人を、子どもたちはどう見ているのでしょうか。
ソニー生命保険株式会社が高校生を対象にインターネットで実施した調査では、「いまの「大人」に対して抱いているイメージ」を尋ねています。
その結果、「大変そう」が93.2%、「疲れている」が92.5%、「楽しくなさそう」が73.5%、「暗い」が67.6%と、大人に対してネガティブなイメージを強く持っていることが分かりました。
将来の夢では、「安定した毎日を送る」が42.4%で最多、「好きなことを仕事にする」が41.8%、「あたたかい家庭を築く」が38.3%となっており、大きな成功をおさめるというよりは、自分らしく働きながらあたたかい家庭を築き、安定した生活を送ることを望んでいる高校生が多いようです。
(他の調査においても同様の結果が出ています。
日本生産性本部が今春の新入社員を対象に実施したアンケートでは、「働き方は人並みで十分」と答えた人が61.6%と過去最高に上り、社長まで昇進したいと答えた人は10.3%で過去最低、「デートの約束があるのに残業を命じられた場合はどうするか」との設問では、「断ってデートをする」が30.9%と3割を超える結果となっています。)
※上のカッコ書きの斜体部分は飛ばしました。
このように、若い世代の意識や理想と、現実の大人との間には大きなギャップがあります。
ワーク・ライフ・バランスを進めることにより、このギャップを解消していかなければ、暮らしの豊かさを実感できる秋田市をともにつくるのは難しいのではないでしょうか。
そこで、(1) ワーク・ライフ・バランス推進の取り組み状況についてです。
本市では、子育てを社会全体で支える機運の醸成を図る観点から、子ども未来部が中心となり、ワーク・ライフ・バランスの取り組みを進めていますが、本来は子育てに限ったものではなく、仕事の生産性を上げて、趣味などのプライベートを充実させる、地域やPTAの活動に参加して仲間を増やすことができる、介護や病気などのためフルタイムで働けなくても仕事を続けられる、そのような職場を作り上げて、働き方・生き方を変え、古い社会のあり方を変えていき、地域で暮らす人々が充実した人生を送ることができるようになることを真のねらいとするものであり、仕事以外の様々な活動が相乗効果を発揮して、自分や家族の人生が充実していく好循環を表すためにワーク・ライフ・シナジーという言い方もされます。
「ともにつくり ともに生きる 人・まち・くらし」
市民協働によるまちづくりを進めるためには、このワーク・ライフ・シナジーという考え方をより多くの市民に理解していただくことにより、働く世代にも地域参加を促し、地域の活力を生み出していくことが、必要になってくるのではないでしょうか。
そして、この考え方を浸透させるためには、子育て応援リーダー宣言を、子育て世代だけではなく、誰もが働きやすい、暮らしやすいまちを目指すものに発展させるべきではないでしょうか。
そこでお伺いいたします。
ア これまでの取り組みをどう評価しているのか
イ ワーク・ライフ・シナジーの理解促進のための取り組み状況はどのようになっているのか
ウ だれもが仕事と生活の両立ができる社会の実現に向けて、子育て応援リーダー宣言を、介護や治療など働き方に制約を抱える方々をも含むものに発展させる考えはないか、お考えをお聞かせください。
(2) 市の発注業務を通じたワーク・ライフ・バランス等の推進についてです。
本市ではこれまでも、ワーク・ライフ・バランス等推進企業に対して、総合評価落札方式での優遇措置を取り入れています。さらに、本市独自の「秋田市元気な子どものまちづくり企業認定制度」の認定企業に対しては、「総合評価落札方式評価項目及び入札参加資格格付の加点について、平成30年度をめどに導入を検討している」との答弁を昨年11月定例会でいただいており、建設工事入札参加資格審査の審査基準において加点する取扱いが今年度から始まっています。
総合評価落札方式における認定企業への優遇措置についても、早期導入を心から期待しております。
同様の取組として、少額随意契約における優遇措置については、対象となる認定企業が少ないことから、認定企業数の推移を見極めながら検討するとの答弁でした。
認定企業が増えたら優遇措置を入れてほしいということではなく、認定企業を増やすために、企業が認定に取り組む動機付けとして優遇措置ができないかという趣旨であります。
その優遇措置は、認定企業に必ず発注すべきというものではなく、複数の企業から見積書を徴取する際に、そのうち少なくとも1者は認定企業にできないかというものですので、そこを踏まえてお伺いいたします。
ア 少額随意契約を行う場合における秋田市元気なまちづくり企業1者以上を見積先とする取り組みの検討状況はどのようになっているのか、ご答弁をお願いいたします。
国土交通省がまとめた資料「建設業の働き方改革」によれば、建築工事の73.5%、土木工事の57.9%が、4週4休以下の少ない休日で施工されています。
また、2016年の建設業の年間総実労働時間は、全産業平均よりも336時間も多く、長時間労働が全く改善されていません。
他の産業でワーク・ライフ・バランスが進めば進むほど、若者が建設業に魅力を感じられない状況に拍車がかかっています。
年齢階層別の建設技能労働者は、60歳以上が81.1万人で、全体の24.5%、ほぼ4人に1人が60歳以上という状況です。これに対して、30歳未満の若手労働者は36.6万人の11.0%と減少傾向にあります。
近年、大規模な自然災害が頻発する中で、このまま担い手不足が進めば、災害時の復旧・復興に深刻な影響を与えることが危惧されます。
そのため、国土交通省では「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定し、直轄工事において率先して、週休2日の確保などの取り組みを進めるとともに、地方公共団体にも働き方改革の取り組みを働きかけていくこととしています。
また、時間外労働の上限規制に向けて、債務負担行為を活用し、年度末に集中する完成時期の分散化や年度当初の発注による施工時期の平準化を図ることとしています。
本市においても、市内の建設業者が働き方改革を進め、必要な時に求められる役割を充分に果たすことができるよう、発注者としてできることに取り組むべきではないでしょうか。そこで、
イ 建設工事の発注において、週休2日制を導入する上での課題は何か
ウ 債務負担行為の活用などにより、施工時期のさらなる平準化を進めるべきではないか、お伺いいたします。
(3) 秋田市特定事業主行動計画(第3期改訂版)による取り組みについてです。
本計画は、法律に基づき、職員の子どもたちの健やかな育成と女性職員の活躍のための行動計画として定めたもので、基本理念は、「みんなでサポート!子育て・介護支援とワーク・ライフ・バランス」です。
これはあくまでも市役所内部の行動計画ではありますが、市民や市内企業のワーク・ライフ・バランスを推進するに当たり、市が率先して改善に取り組むことで蓄積したノウハウを効果的に活かすことができます。反対に、率先して取り組まない限り、説得力もなく、市民や市内企業の意識改革は進まないのではないでしょうか。
まずは、これまでの取組と現状をどうとらえるのかが大切です。そこで、
ア 同計画に定める目標の達成状況をどう評価しているのか、お伺いいたします。
同計画には、具体的取組内容として、「副担当制の導入」が挙げられております。少ない人員で増え続ける業務を処理する状況では、効果的に機能させるのはやさしいことではないと思います。そこで、
イ 複数人で対応できる業務体制構築の状況はどのようになっているのか、また、効果についてはどうか、現状と今後の見通しをお聞かせください。
以前、男性の育児休業取得の義務化は、「職員それぞれの事情等があるため困難である」との答弁をいただきました。
しかし、男性職員の育児参加を本気で進めようとするのなら、それぞれの職場や職員に判断を任せていては前に進みません。職務への責任感が強い人ほど、同僚への気遣いができる人ほど、育児休業を取りたいという自分の気持ちに蓋をしてしまうのではないでしょうか。
ある企業では、1.5%だった男性の育児休業取得率を100%にする目標を設定しました。そのねらいは、企業の文化を変えることだったそうです。
本市でも、男性が子育てのために仕事を休むのは普通のことだという組織風土に改めていくために、その姿勢を目標として示す必要があるのではないでしょうか。
ウ 男性の育児休業取得率の目標値を、毎年10%から毎年100%に上方修正し、意識面の課題を克服する必要があると考えるがどうか、お答えください。
本計画では、月60時間を超える場合を長時間時間外勤務として報告義務を強化するほか、午後8時以降の時間外勤務を抑制する取り組みを進めることとしております。
こうした取り組みは、他の地方公共団体でも以前から行われていますが、報告義務を免れるためにサービス残業が横行し、書類上の時間外勤務時間と実態とが乖離する事態を生んでいます。
時間外勤務の縮減のためには、土日勤務や遅い時間帯までの残業など、長時間に及ぶ時間外勤務を無くしていくことが効果的であり、勤務間インターバル制度を始め、様々な手法を積極的に検討・試行し、効果を見極めていくべきではないでしょうか。そこで、
エ 長時間時間外勤務の状況はどのようになっているのか、また、時間外勤務縮減のため、勤務間インターバル制度の試行のほか、土日連続勤務や深夜の時間外勤務の禁止、残業時間の上限設定、時差勤務・時短勤務を推進していく考えはないか、お聞きします。
年次有給休暇の取得促進については、本市では、計画年休制度を実施していますが、国では、本年度から「キッズウィーク」を推進することになり、職員に保護者として積極的に休暇を取得するよう促す取組が求められてきます。
本計画の数値目標になかなか届かない中、昨年の2月定例会において、「御提案のプラスワン休暇などさまざまなアイデアや取り組みについて積極的に情報収集するとともに、職員団体とも連携して職員への周知等に努めながら、より休暇を取得しやすい環境づくりを進めてまいります。」とのご答弁をいただいておりましたので、
オ 年次有給休暇の取得促進の取り組み状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。
2.教職員の働き方改革についてです。
教職員が、さまざまな教育活動や学校運営に熱意をもって取り組み、人間性豊かな児童生徒に育てるためには、自らが心身ともに健康で、家事や育児、趣味などライフスタイルを大切にし、人間としてバランスのとれた生き方を子供たちに示すことが大切であります。
また、学校に求められる役割が広がっていく中で、専門知識の習得など自己研鑽に充てる時間の確保も必要となってきております。
そのためには、教員にしかできない仕事に集中してもらえる環境を整える必要があり、ICTを活用したテストの採点や業務の効率化、外部人材の活用、地域の協力も今後ますます必要になってくるものと考えられます。
昨年11月に実施された「教職員の多忙化に係る状況調査」では、過労死ラインと言われる月80時間を超えて時間外勤務をしている教諭が、小学校で約2%、中学校で約46%とのことです。
校務支援システムの導入や学校給食費の公会計化など、多忙化改善に向けたこれまでの取組を高く評価しつつ、より一層の改善を図るため、以下、お伺いいたします。
(1) 中央教育審議会の学校における働き方改革に関する中間まとめや県教育委員会の2018教職員が実感できる多忙化防止計画を踏まえ、働き方改革にどのように取り組んでいくのか、また、市として多忙化改善のための計画を策定すべきではないか
(2) 月80時間を超えて時間外勤務をする教職員をゼロにする目標を設定すべきではないか
(3) ICTや非常勤スタッフ、外部人材の活用など新たな取り組みとして考えているものはあるのか、お考えをお聞かせください。
教員の長時間労働が改善しにくいのは、教員には時間外勤務手当及び休日勤務手当を支給しないと法律に定められていることが要因の一つとして指摘されています。
教員の労働実態を正確に把握し、勤務に見合った手当を支給することが、働き方改革を進めるためには不可欠ではないでしょうか。そこで、
(4) 教育職員へ時間外勤務手当及び休日勤務手当を支給しないことを定める公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法のあり方をどのように考えているのか、また、国に法改正を要望する考えはないか、お伺いいたします。
3.子育てしやすい環境づくりについて、の
(1) 放課後児童対策についてです。
昨年の11月定例会において、処遇改善や勤務形態の見直しにより児童厚生員の確保に努めるとの答弁をいただきましたが、まだ欠員の解消には至っていない様子が見受けられますので、
ア 児童厚生員の配置状況について、処遇改善や勤務形態の見直しにより改善されているのか、また、今後の見通しはどうか、お伺いいたします。
児童館では、日中働いていて保護者が家にいない時間帯に子どもに利用させているケースがあります。この場合、土曜日にも仕事がある場合や、夏休みなどの長期休業中の平日に、子どもをどうするかということが問題になります。
多くの場合、朝、子どもを児童館に送ってからでは、仕事が始まる時刻に間に合わないため、特に低学年の児童を持つ家庭では、頭を悩ませています。
児童館の開館時刻を早めてほしいとの声もありますが、児童厚生員に欠員が出ている状況では、特に低学年の児童の受け皿を増やせるよう、放課後児童クラブの早期拡充が必要と考えます。そこで、
イ 土曜日や小学校の長期休業中に児童館の開館時間を早める考えはあるのか
ウ 放課後児童クラブの新設等の受け皿確保の状況はどうか、また、施設の増改築による定員拡大の見通しはどうか、お伺いします。
(2) 病児・病後児保育についてです。
働きながら乳幼児を育てる家庭では、子どもの病気に頭を悩ませています。
病児保育や病後児保育は預けられる施設が少なく、流行り病の際にはすぐに定員がいっぱいになり、空きのある施設を求めて右往左往することになります。
それに加え、病後児保育の利用連絡票が施設間で異なるため、日によって異なる施設に預ける場合は、改めて病院で受診し、その施設の利用連絡票に医師の診断を記入してもらわなければならないため、大変な労力を要します。そこで、
ア 病児保育及び病後児保育の利用状況はどうか、また、施設や利用定員をふやす考えはないか
イ 各施設の病後児保育の利用連絡票を、施設間で共用できるようにする考えはないか、お伺いいたします。
(3) 骨髄移植手術等により定期予防接種で獲得した免疫が失われた場合の再接種についてです。
白血病や小児がんなどに罹り、骨髄移植手術や抗がん剤治療を受けると、それまでに定期予防接種で獲得した免疫が失われ、予防効果が期待できなくなりますが、そのような場合の再接種は任意となっております。
任意の再接種は全額自己負担となり、定期予防接種と同等のものを全て接種すると数十万円もの負担になります。
ただでさえ子どもが大病を患い、心身共に疲弊している家庭にとっては大きな負担です。経済的な理由で再接種を見送ることや、子どもをもっと授かりたいという気持ちにブレーキをかけることもあるかもしれません。
予防接種法に規定する伝染病の発生と流行を予防する観点からは、再接種を任意としていることには疑問を感じます。
また、予防接種による健康被害に対する補償も、定期接種と任意接種とでは大きな開きがあります。
これらの法制度上の課題は、国が解決すべき課題であることから、国に対して制度改正を要望するとともに、改正が実現するまでの間、本市においてできる措置を行うべきではないでしょうか。そこで、
ア 再接種の必要性についてどのように考えているのか
イ 医師の判断により再接種が必要と判断された者に対して、接種費用を助成する考えはないか
ウ 予防接種による健康被害に対する補償制度も含め、定期予防接種と同様の取り扱いとするよう国に制度改正を要望すべきではないか、お考えをお伺いいたします。
4.児童生徒の安全確保についてです。
今年5月に新潟市で発生した下校途中の女子児童の殺害事件を受け、関係省庁が横断的に取り組むべき課題として、登下校防犯プランが決定されました。
県内では、夏休み中に女子児童の連れ去り事件が発生し、登下校時の対策強化に加え、帰宅後や長期休業中の外出時の安全確保にも取り組む必要がでてきました。
学校や警察、児童館、保護者、見守り隊など、さまざまな担い手が連携した取組が必要となりますが、常に子どもたちを見守ることには限界もあります。
また、中央教育審議会では、登下校に関する対応は、基本的には学校以外が担うべき業務としていることもあり、これ以上、教員の負担は増やせません。
このような中、近年、ICTを活用した子どもや高齢者の見守りサービスが全国で広がりつつあります。
兵庫県加古川市では、ビーコンタグを活用して子どもたちを見守るため、市がビーコンタグ検知器を内蔵した見守りカメラを設置し、民間事業者がビーコンタグとスマートフォンアプリを提供する官民協働事業に取り組んでおり、保護者は月500円前後でサービスを利用することができます。
さらに、市の公用車や郵便配達用バイクにも検知器を搭載したほか、スマートフォンを検知器として機能させられるアプリを提供し、新たな見守りボランティアとして市民に参加を呼び掛けています。
関係者の負担を抑えつつ、児童生徒の安全確保を図るためには、このようなICTの活用を視野に入れるときが来ているのではないでしょうか。
そこで、
(1) 関係閣僚会議で登下校防犯プランが決定されたことを受け、登下校時の安全確保に具体的にどのように取り組んでいくのか
(2) 帰宅後や長期休業中の外出時の安全確保にどのように取り組んでいくのか
(3) ICTを活用した先進的な取り組みを調査・研究し、児童生徒の見守りシステム導入について検討すべきではないか、お考えを伺います。
5.自転車活用の推進についてです。
国の自転車活用推進計画は、本年6月に閣議決定され、自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成、自転車事故のない安全で安心な社会の実現などの4つの目標が掲げられ、計画期間中に講ずべき措置について、具体的に示されています。
その中には、コンパクトシティ形成の取り組みやまちづくりと連携した自転車通行空間の整備、シェアサイクルと公共交通機関との接続強化、貸し出し・返却システムの共同化によるシェアサイクルの普及促進など、自転車の利便性向上による利用促進策が列挙されています。本市としても、まちづくりに自転車をどのように活用していくのか、安全利用をどう促進していくのか、体系的かつ計画的に取り組む必要性が増してきています。
安全利用については、自動車の事故件数が減少傾向にあるのに対し、自転車が第1当事者となった対歩行者の事故は横ばいが続き、小学生が9,500万円の賠償責任を負ったケースや、スマートフォンを操作しながら自転車に乗り、歩行者を死亡させる事故を起こした元女子大生に有罪判決が下されるなど、被害者だけではなく加害者の人生までも一変させてしまう自転車対歩行者の事故に注目が集まっています。
「自転車は一つ間違えば人の命を奪ってしまう乗り物」という意識に変えていかなければ、「周囲の安全を顧みない自己本位な態度」と言われても仕方ありません。安全利用に関する意識啓発に力を入れていく必要があります。
また、損害賠償責任保険への加入義務付けについては、昨年11月定例会において、市民に新たな負担が生じることから、市民の理解と意識の醸成が必要であり、任意の取り組み、任意の啓発で周知していきたい旨の答弁がありましたが、本計画に「地方公共団体に対して、条例等による損害賠償責任保険等への加入促進を図ることを要請する」と明記されたことからも、民間事業者と連携しながら加入促進を図る必要があるのではないでしょうか。そこで、
(1) 本年6月の自転車活用推進計画の閣議決定を受け、自転車活用推進法第11条に定める市町村自転車活用推進計画の策定にどのように取り組んでいくのか
(2) コミュニティサイクル導入の検討状況はどのようになっているのか、また、導入の際には、利用者の利便性向上のため、他の地方公共団体の貸し出し・返却システムとの共同化を検討すべきではないか
(3) 自転車が関与した事故の状況はどのようになっているのか、また、自転車の安全利用とあわせ、条例等により損害賠償責任保険等への加入促進を図る考えはないか、お伺いいたします。
6.防災対策についてです。
多くの死者と被害をもたらした7月の西日本豪雨では、実際に浸水した地域とハザードマップの想定浸水域がほぼ一致しているにも関わらず、住民の迅速な避難行動に結びつかなかったケースや、避難指示を発令したにも関わらず避難率が数パーセント台に留まったケースが報告されています。
ハザードマップを見たことがない、本当に起こるとは思わなかった、床下浸水くらいで済むだろうなど、救助された人の多くが、「まだ避難しなくても大丈夫」と思ってしまったそうです。
このように、自分にとって都合の悪い状況を過小評価してしまう心の特性を、心理学用語では正常性バイアスといい、災害時には、「まだ大丈夫」、「自分は大丈夫」といった誤った判断につながっています。
東日本大震災では、地震直後から大津波警報が出ていたのに、多くの人が逃げ遅れました。中には、目の前に津波が押し寄せているのに歩いている人もいました。そのような様子を、日本中の人が、テレビのニュースなどで目にしたはずです。それでも逃げ遅れは後を絶ちません。危険なときには早めの避難と分かっているはずなのに、いざその場に直面すると、「まだ大丈夫」と思ってしまうようです。
自分にもこうした心理特性があるということを一人ひとりが理解しなければ、どれほど正確なハザードマップや防災カルテを作成しても、また、適切に避難指示を出したとしても、適切な避難行動には結び付けるのは難しいのではないでしょうか。そこで、
(1) 災害時の避難行動を妨げる正常性バイアスなどの心理特性について、住民への意識啓発などの対策が必要と考えるがどうか、お伺いいたします。
今年の夏の記録的な猛暑では、熱中症とみられる症状で児童が亡くなったほか、全国で熱中症と見られる救急搬送が相次ぎ、西日本豪雨の避難所からも熱中症で救急搬送される方がいました。これからは、猛暑も自然災害の一つと捉えて、対策を検討する必要があるのではないでしょうか。
猛暑とは言っても、エアコンの効いた自動車で通勤し、エアコンの効いた職場で働く人にはあまり問題はありません。しかし、徒歩や自転車で日光にさらされながら通学し、汗の止まらない教室で授業を受け、気温が下がらない中で部活動をする児童生徒たちは大変です。
また、ただでさえストレスの多い避難生活を、エアコンのない避難所で過ごすのは、被災者にとってあまりにも過酷です。
中核市市長会では、国に対して、災害発生時の重要な拠点となる公立学校への空調設備の設置について緊急要請を行ったほか、文部科学省が全国の公立学校のクーラー設置状況を調査するなど、公立学校への空調設備の整備に向けた動きが出始めました。
先例を見ますと、熊本市では、熊本地震を踏まえ、教室を避難所として活用するケースも想定し、ランニングコストで有利な電源自立型のガスヒートポンプエアコンを各学校に設置しております。
ガスヒートポンプエアコンは、電気モーター式のエアコンに比べ、契約電力を抑えられるほか、電力需給に影響を与えることもなく、空調と同時に電力を発電して供給できるものもあります。
先日の北海道地震では、停電が長引き、スマートフォンのバッテリー切れから災害情報を得られない人が続出したため、災害時の電源確保の重要性を指摘する声も出ています。そこで、