八橋陸上競技場の暫定使用に対する考え(補正予算案の賛成討論)

3月6日(火)の本会議で、補正予算案(八橋陸上競技場の暫定使用)に対する賛成討論を行いました。

なぜ、わざわざ賛成討論をするのか。それは、八橋陸上競技場の暫定使用のための予算を削除する修正案を、前日の予算決算委員会に提出したことについて、その真意を述べる責任があることと、県や秋田市の中途半端なスタンスを改めてもらう必要があるからです。

予算決算委員会では、修正案の提出理由を述べるのですが、あくまでも理由の説明であり、討論ではないことから、熱い思いを語って賛同を得ようとするのではなく、なぜ修正しなければならないのか、事実をベースに説明することになります。

修正案を提出すれば、他の議員からの質疑に答えなければなりません。市当局が提出したものには市が答弁しますが、議員が提出したものには、その議員が答弁します。どんな質問が来るのか分からないので、大変と言えば大変ですが、そこでは、自分の思いを堂々と述べることができます。そういう意味では、積極的に質問してほしいのです。ということで、十数ページに渡る想定問答(県庁時代によく作ったなぁ、懐かしい)を準備して委員会に臨みました。

残念ながら、質疑はありませんでした。よって、私の思いや考えを説明する責任を果たすため、賛成討論を行いました。

一番の問題点は、行政(県や秋田市)が腹を括っていない、逃げ道を用意していること、ブラウブリッツ秋田に責任を負わせようとしていることです。

「行政がはしごを外す。」という言い方をすることがあります。補助金で政策的に誘導しようとして、民間に取り組ませたのに、数年で補助金を廃止してしまったときなどに使われます。

行政が逃げるときの言い訳は簡単です。「財政運営上厳しい。」、「財政課が予算を認めてくれなかった。」と言えばいいのです。

先日の代表質問では、6人中4人が、スタジアム整備に対する市の考え方を質しました。それに対する答弁は、ほぼ一貫して、新年度に設置される「(仮称)新スタジアム整備構想策定協議会」における議論を注視するという趣旨のものでした。

協議会のメンバーの一員なのに、協議会の議論の動向を注視するというのは無責任ではないかと感じてしまうのですが・・・。

例えば、市議会議員である私が、ある案件に対する考えを問われたときに、「市議会の議論の動向を見守ります。」と答えたらおかしいですよね。

スタジアム整備は、プロスポーツへの支援のあり方だけではなく、秋田市のまちづくりという課題に向き合う覚悟を問うものです。

4月以降に設置される協議会での議論を待たずとも、秋田市がこれからのまちづくりをどうするのかを考えることはできますし、それまでに、市のスタンスを定めておくべきではないでしょうか。

県や市の行政責任についても触れておきたいと思います。

新スタジアムは、公共施設(民間との合築等様々な手法があります)、まちづくり施設として整備するものです。

自治体には、地方自治法で定める「住民福祉の向上」と、「最少の経費で最大の効果」が求められます

つまり、スタジアムは、住民福祉の向上のために整備するものであり、その結果、住民福祉が向上するという根拠を示さなければなりません。すなわち、スタジアムを具体的にこう活用すれば、このような利益を住民が享受できます、ということを、公共施設を管理する行政の責任として示す必要があります。

陸上競技場を使用する競技団体の利便性等の向上や、市民の健康寿命の延伸に寄与するとの答弁がありました。それはそうだと思います。では、具体的にどうするのですか、というと全く検討されていません。

こうしたことを曖昧にしたままで、「J2昇格のため」、「時間がない」という理由で押し切ろうとしています。

それでは、八橋陸上競技場の暫定使用や新スタジアム整備の責任を、ブラウブリッツ秋田に押し付けることになってしまいます

今シーズンの成績がふるわず、来シーズンにJ2に昇格するチャンスを掴めなかったときに、県や市が、はしごを外してスタジアム整備の機運が急速に萎む可能性があります。

しかし、極端に言えば、まちづくり施設なら、ブラウブリッツ秋田の成績は関係ないのです(少し言い過ぎかもしれませんが)。

勝負の世界なので、チームはもちろんJ2昇格を目指すのですが、公共施設の管理者の立場からは、J2に昇格できなくても、J3のままでも観客が増えるような施設であるべきですし、サッカーの試合が無い日(その方が圧倒的に多い)でも、来場者が絶え間なく訪れる施設を構想すべきです。

そうでなければ、ブラウブリッツ秋田がJ2に昇格できなかったせいで施設の来場者数が伸び悩んでいる、など、後で行政がはしごを外す理由に使われる懸念があります。

最後に、誰がいくらお金を出すのか全く決まっていません。

内容が定まっていないのだから当たり前と言えば当たり前ですが、最初にある程度枠組みを決めないと、協議会が無責任な議論の場になりかねません。

最後の最後に、誰がいくらお金を出すのかという段階になって、費用と責任の押し付け合いが始まるのを見たくはありません。

杞憂であればいいのですが。

 

以下、私の賛成討論の内容です。=============================

そうせいの藤田信です。

議案第20号 平成29年度秋田市一般会計補正予算(第10号)について、昨日の予算決算委員会に提出した修正案が否決されましたので、原案に賛成とし、建設的な立場から討論いたします。

本補正予算案に計上された八橋陸上競技場夜間照明等整備事業 9億8,997万2,000円は、新スタジアム完成までの間、八橋陸上競技場をJ2の試合に使用できるようにするため、八橋陸上競技場に夜間照明設備、大型映像装置、防音壁や選手用スタジアムロッカーを新設し、サッカーゴールの更新やトイレの洋式化などの改修を実施するものでありますが、スタジアムの新設を前提とした事業であることから、本事業の実施とスタジアムの新設は切り離すことのできない関係にあります。

スタジアムの新設については、新年度に設置しようとする「(仮称)新スタジアム整備構想策定協議会」において、規模や機能、建設場所、事業費、財源、事業主体等を検討することとしており、ブラウブリッツ秋田以外の陸上競技場の利用者や一般の県民・市民にとって、どのようなメリットがあるのか、本市のまちづくりにスタジアムをどう位置付け、県民、市民のためにどのように活用していくのか、といったことが充分に議論されていないことから、現時点で、スタジアムの新設を認めること、スタジアムの新設を前提として八橋陸上競技場に新たに大型映像装置等を設置する、という判断を下すのは拙速ではないか、多くの市民の理解を得るのは難しいのではないか、との思いがありました。

先日、飛行機を利用する機会があり、何気なく手に取って読んだJALグループの機内誌スカイワードに、日本航空株式会社の植木代表取締役の言葉が掲載されていました。
「自分が最善と思える準備をしたかどうかを常に自分に問いかけていました。夢に向かって強い意志を持ちながら、慎重に対応策を考え尽くし、120%自分が満足できる準備をします。」とのことでした。
これはJALグループ社員の行動指針であるJALフィロソフィの中の、「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」に当てはまるそうです。

これまでの、スタジアム整備のあり方検討委員会では、様々な可能性を模索しながら、「スタジアムを核とした秋田の創生」という夢を描いてくださいました。
しかし、新スタジアムがありさえすれば、観客が増え、にぎわいが生まれ、地域が活性化するわけではありません。また、J2に昇格すれば、観客が増えて、経済効果が出てくると安易に考えるべきではありません

勝負の世界は厳しく、次にいつJ2に昇格するチャンスが来るのか、J2に昇格してもそこに留まり続けることができるかどうかは分かりません。サッカークラブチームの経営状況がどうなるのかも分かりません。
よって、J2に昇格すれば希望が生まれるという考え方ではなく、J3のままでも、観客が増え、サッカーに頼らなくても、にぎわいが生まれ、地域が活性化するような構想・計画を示す必要があります。

新年度に設置しようとする「(仮称)新スタジアム整備構想策定協議会」において、秋田の創生という、決して楽ではない夢を実現するために、悲観的な立場に立って、慎重に考え尽くし、県民・市民の理解を得ながら、自信を持って実行できるものを練り上げていくべきではないでしょうか。

そのためには、整備構想策定協議会の一員として、本市のスタンスを明確にして協議に臨むことが求められます。先に行われた代表質問では、事業主体や費用負担、建設場所、機能、チームへの支援などに関する質問に対して、今後、協議会で議論されていく旨の答弁でしたが、事業主体や費用負担などの面で、本市が主導的な立場となることが充分に予想されます。

整備構想が固まってきた段階で、責任や費用負担の押し付け合いにならないように、事業主体や費用負担については、できるだけ早く枠組みを定め、協議会のメンバーが責任のある議論を行える環境を整えた上で、本市のまちづくりや住民福祉の向上の観点から、機能や建設場所、公共交通の活用など、本市が主体的に検討し、積極的に提案していくべきであります。

八橋陸上競技場の暫定使用は、「J3ブラウブリッツ秋田から、J2クラブライセンスの早期取得のために要望のあった八橋陸上競技場の暫定使用を、県の協力を得ながら実施するもの。」と説明があったとおり、J2クラブライセンスの早期取得のために実施されるものでありますが、新設を目指すスタジアムと同様に、暫定使用であっても、スタジアム整備のあり方検討委員会の報告書にある「スタジアムを核とした秋田創生」を実現する努力が求められます

5つのコンセプトの中には、ハード面で難しいものもありますが、ソフト面で、八橋陸上競技場でも実現しうるものも多くあることから、県民・市民の知恵を結集して、住民福祉の向上を図るべきであります。

最後に、本事業の財源についてです。

本事業には、公共施設等整備基金繰入金を充てることになっております。「秋田市公共施設等整備基金条例」の第6条では、基金の処分について、公共施設等の修繕等に要する経費に充てる場合、または公共施設等の統合及び更新を伴う整備に要する経費に充てる場合に限り、処分することができると規定されております。

また、この条例の制定に当たり、平成27年3月13日の予算決算委員会総務分科会では、当時の財政課長が、「公共施設の総合管理計画においても、維持管理ですとか修繕、更新にかかる中長期的な経費の見込みや充当可能な財源の見込みを記載することが望ましいとされておりますので、明確にそうした財源を確保していくという意味で、新たな基金を設けたいと考えています。」と答弁しております。

本事業は、サッカーゴールの更新やトイレの洋式化を除くと、費用の大部分が、これまでになかった夜間照明設備、大型映像装置、防音壁や選手用スタジアムロッカーを新たに設置するものであり、公共施設の維持管理、修繕、統合、更新に当たるとは断言しづらいことから、公共施設等整備基金の創設の趣旨にそぐわない可能性があります。今後、公共施設等整備基金を充当しようとする際には、より慎重に、その適否を検討することが求められます。

最後に一言申し上げます。

先日の予算決算委員会教育産業分科会において、今、この予算を計上しなければ、来年のJ2の開幕に間に合わないとの答弁がありました。平成27年11月定例会における討論でも申し上げましたが、「時間がない」というのは、議案の内容が適切かどうかを判断する基準とはなりえない、ということを申し添えて、私の賛成討論を終わります。

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