証拠に基づく政策立案(EBPM)とは

昨日(H30.1.4)から日本経済新聞のやさしい経済学のコーナーに「証拠に基づく政策とは何か」という連載が始まりました。

EBPMは、Evidence Based Policy Makingの略で、証拠に基づく政策立案と訳されており、簡単に言えば、ある政策が有効であるという証拠に基づいて政策を立案し、実施することです。

有効である証拠は、政策介入による純粋な効果を科学的に測定できることが理想で、目標と実績との対比による有効性の判定ではなく、例えば、ランダム化比較試験により、比較対象のグループの間に、統計的に有意な差が発生した場合に、政策効果があると判断されるものです。

これまでも行政改革は、行政需要の拡大と財政の制約から、できるだけ効果的な政策に予算を配分するため、業績による管理に努めようと工夫がなされてきました。

私が県庁で働いていた頃は、アウトカム指標(成果指標)による目標数値の達成度で政策・施策・事業評価を行っていました。

目標と実績との対比の問題点は、実績を正確に測定し、成果を正しく把握できたとしても、目標の水準を裁量的に設定できる点です。

これに対して、EBPMは、実証試験により、政策の実施前と実施後を比較するもので、そこに裁量が入り込む余地がありません。

今後、EBPMは、国や地方公共団体においても、積極的に取り組んでいくという方向性が示されています。

国では、「経済財政運営と改革の基本方針2017」(いわゆる骨太方針)において、「政策、施策、事務事業の各段階のレビュー機能における取組を通じてEBPMの実践を進め、 EBPM推進体制を構築する。」としているほか、地方に対しては、「「統計改革推進会議最終取りまとめ」等を踏まえ、地方公共団体においても国と歩調を合わせてEBPMを推進するよう促す。」としています。

 

しかし、業績による管理手法は、これまで様々なものが生み出されてきましたが、決め手と言えるものがないも事実です。

統計的な手法に精通した職員の存在も欠かせませんが、私の県職員時代を振り返ってみると、大学で統計学の入口を少し学んだだけの私よりも、統計データの分析ができる職員は少なかったと記憶しています。

また、国では、統計改革推進会議が設置されており、最終とりまとめの中で、「我が国の経済社会構造が急速に変化する中、限られた資源を有効に活用し、国民により信頼される行政を展開するためには、政策部門が、統計等を積極的に利用して、証拠に基づく政策立案(EBPM。エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)を推進する必要がある。」とされていますが、EBPMと統計改革を車の両輪と位置付けており、最終とりまとめを全体的に読んだところでは、EBPMの本質を追求しようというよりも、統計部門の維持・拡大のためにEBPMを利用しようとしているのではないかと感じられる記述が多いように感じられました。

実際に、全ての政策でこうした手法を適用するのは、労力的にも難しいところがあるので、他の手法と使い分けていく必要が出てくるような気がします。

果たして、一時的な流行で終わるのか、定着していくのか・・・。

私も勉強していきたいと思います。

(参考)

経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~(骨太方針)

統計改革推進会議最終取りまとめ(平成29年5月)(PDFファイル)(統計改革推進会議

「EBPMの試行的検証」EBPM推進に向けた取組み・ロジックモデルなどについて(平成29年11月15日行 政改革推進本部事務局説明資料)

「エビデンスに基づく政策形成」とは何か(PDFファイル)(財務省広報誌 「ファイナンス」

「エビデンスに基づく政策」に関するエビデンスRIETI 独立行政法人 経済産業研究所

平成28年度政策評価調査事業(経済産業行政におけるエビデンスに基づく政策立案・評価に関する調査)報告書(PDFファイル)(三菱UFJリサーチ&コンサルティング

新たなICTを活用したエビデンス・ベースの政策運営~国や地方公共団体政策部門における官民データ活用~NTTデータ経営研究所

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